“農”のエキスパートも多いぴたら村で、造り手ではないけれど恐らく村の誰よりもたくさんの農作物を体内に摂り込んでいる小林一家の慎さんです。僕たち一家は村の在る白州町のとなり町の長坂町で暮らしています。移住者はあまり加入しないのですが、地域と同化しないと意味がないと考える我が家は山梨県特有の“組”という集落組織に所属し、不慣れながら組長を務めたりもしています。我が家が属する長坂上条区の8組は僅か8世帯で大半はプロフェッショナルな農家です。で、先日、地域を司る穂見諏訪十五所神社で約450有余年前から受け継がれ、無形文化財に指定される伝統行事、“筒粥占い”の神事が行われました。    
武田信玄の父信虎に命じられたのが始まりで、5寸(約15cm)程に切った葦を簾状に編み、東にしてそれぞれの葦に穀物、野菜、養蚕をはじめ、天災・水・風・雨・霜。景気等の占う種名を決めて、5合の米と、3升の水で作った粥の中へ、この葦の束を入れ、2升の水を追加しながら煮詰めていきます。翌日未明に、神官立会いのもとで葦を開き粥上になっている米粒の数で占う神事です。筒粥厳修目録の数は、大きい数字が良いとされています。        とてつもなくプリミティヴなこの行事が450年も続いていることの意味とその背景に想いを巡らすのもこのエリアで暮らすことの慈しみかもしれないと感じる今日この頃です。